ケンケンラボ

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脱自己流!知っておきたいマラソン練習の基本知識とトレーニング方法

どんなスポーツでも最初は経験者に教わって始めるものですが、マラソンの場合はなぜか誰からも教わることなく自己流で始めます。それでもフルマラソンを完走するくらいならなんとかなるものですが、練習の効率を考えるときちんと教わるのがおすすめです。とはいえ周りに教えてくれる先輩ランナーがいないとどういう方法で練習すればいいのかもわかりませんよね。そこで今回はマラソン練習の基本となる考え方と効率よくトレーニングするためのメニューについてご紹介していきます。

 

目次

  1. 練習・食事・睡眠の3本柱を意識すること
  2. ラソン練習の基本はポイント練習とジョグ
  3. 基本となるポイント練習とジョグの練習方法
  4. 違和感があったらすぐに中断しよう
  5. まとめ

 

1.練習・食事・睡眠の3本柱を意識すること

まず頭に入れてもらわないといけないのが練習だけでは成長しないということです。マラソンのトレーニングとしては「練習で体を疲労させ睡眠で疲労した体を回復させる」がベースになります。

人間の体は疲労から回復したとき(48~72時間後)に練習前よりも少しだけ体力がアップします。これを「超回復」と呼ぶのですが、体力が上がったタイミングでさらに疲労させると次の回復時にはさらに体力がアップします。これを何度も繰り返すことで走れるカラダへと変化していきます。

ここで重要になってくるのが食事です。疲労した体を再構築するには原材料が必要になります。その原材料となるのが食事から摂取する栄養素というわけです。主となる栄養素はタンパク質でタンパク質が不足すると練習で体を疲労させても十分な回復ができません。

このためマラソンのトレーニングにおいては「練習・食事・睡眠」を常にワンセットで考えなくてはいけません。寝る時間を削ってランニングしている人もいますが優先順位を間違えないようにしましょう。優先すべきは睡眠で十分な睡眠時間を確保できないなら練習はお休みにしてください。

もちろん食事も重要でタンパク質だけでなく炭水化物や脂質といった3大栄養素だけでなく、ミネラルなどもしっかり摂らないと走れるカラダを作ることはできません。

しっかりと練習をして食事にも気を使いそして十分な睡眠時間を確保する。この3つが合わさったのがマラソンレーニングです。走るだけでは不十分だということをまずはしっかりと頭に入れておきましょう。

 

2.マラソン練習の基本はポイント練習とジョグ

ラソン大会に向けての練習で何も考えずに毎日10km程度を走っている人もいるかと思います。ランニングを始めたばかりのころはそれでもある程度のレベルまでは成長します。でもすぐに伸び悩むことになります。

そうなると今度は月間走行距離を伸ばしがちですがここでは走行距離を増やすのではなく練習の質を上げるトレーニングとしてポイント練習を行いましょう。

インターバルやペース走といった名前は聞いたことがあるかもしれませんが、このような高負荷のトレーニングを取り入れることで筋力アップと心肺機能向上を狙えます。ポイント練習を導入することにより今までよりも速いスピードで長く走れるようになります。

ただしポイント練習は高負荷ですので回復するのに時間がかかります。ポイント練習の内容や負荷にもよりますがポイント練習をしたら次回まで2~3日は空けるのが一般的です。

ではその2~3日間は何もしなくてもいいのかというとそうではなくこの期間はジョグを行います。ジョグというのは比較的ゆっくりしたスピードで行うランニングで会話を楽しめるくらいのペースで走ります。もちろんジョグには意味がありますがそれについては後ほど詳しく説明します。

ラソンをしっかりと走れるようになるにはこのようなポイント練習とジョグの組み合わせトレーニングメニューを作る必要があります。

 

3.基本となるポイント練習とジョグの練習方法

 

インターバルトレーニング

インターバルトレーニングは高負荷のランニングとジョグを交互に繰り返すトレーニングです。方法がいくつもあるのでトレーナーによって教える内容に違いがありますがここでは2つのインターバルトレーニングをご紹介します。

1000m×4本

400m×10本

大事なのは全力で走らないということです。インターバルというと全力疾走とジョグの組み合わせだと思っている人がいますが、大事なのは400mにしても1000mにしても決められた距離を最後まで失速しないペースで走るということです。それも何本目でも同じペースで走ります。

もちろんゆっくり走っても意味がありません。インターバルが終わったときにオールアウトしているのが理想です。途中で疲労からペースが落ちるのもNG、力が余っているのもNGです。この感覚は自分で掴むしかありません。

 400mや1000mを走ったあとジョグでつなぎますがこのジョグは息を整える時間です。あまり長く取りすぎても意味がありません。ジョグは400mや1000mを走るのにかかった時間だけ行ってください。

例えば1000mを4分で走ったら4分間のジョグを行います。それを1セットとして決めたセット数だけ繰り返します。1000mなら4本、400mなら8本です。

こうすることで心肺機能に高い負荷をかけることができます。心臓や肺も筋肉でできていますので高い負荷をかけることで強くなります。そういう意味でインターバルは心臓と肺の筋トレだと考えてください。

 

ペース走

ペース走はとてもシンプルです。決められた距離を決められたペースで走り続けるだけです。どれくらいのペースで走るのがいいのかはそれぞれの走力によりますが、まずは5kmをぎりぎり息が切れないペースで走り続けましょう。それができるようになったら10kmに伸ばしましょう。

気をつけてほしいのはその日のコンディションによってペースが変わるということです。ある程度のペースは事前に決めておきますがいざ走ってみると体が重いこともありますし、気温や風の強さなどでも維持できるペースが違います。

最初の1kmを設定ペースで走ってみて無理がないかを確認しましょう。息が上がるようでしたら思い切ってペースを落としましょう。「これくらいなら最後まで走れそう」というところまでペースを調整してそのまま残りを走りきってください。

ペース走を行うことで心肺機能向上だけでなく筋持久力が上がります。最後までペースを落とすことなくそれでいて筋肉がパンパンになるくらいがちょうどです。最初はペースをつかむのが難しいですが何度も行っていれば感覚をつかめるようになります。

 

ジョグ

ラソン練習においてジョグは軽視されがちですが実はとても重要なトレーニングになります。私たちの筋肉には「遅筋」と「速筋」の2種類がありますがポイント練習で鍛えられるのは主に速筋になります。でもマラソンにおいて重要なのは遅筋です。

ポイント練習を行うのはスピードを出しやすくするためであってマラソンを走りきるには遅筋を鍛えなくてはいけません。それを行うのがジョグというわけです。

このジョグの目的は遅筋線維の毛細血管密度を上げることなのでゆっくりと走ります。ペースは筋力によって違いますのでキロ〇分とは言えませんが会話を楽しめるくらいのスピードで走りましょう。走っていて会話がなくなるようだと速すぎます。

自然な呼吸で余裕を持って走れるくらいを心がけてください。走力が上がってくるとゆっくりと走るのは意外と難しいものですがゆっくりと走ることが求められる練習ですので、必要以上に速く走らないように自分をしっかりとコントロールしましょう。

 

4.違和感があったらすぐに中断しよう

ランニングを始めたばかりは走れば走るほど速くなります。そうなってくると練習量も自然と増えていきます。ここに大きな落とし穴があります。練習量が増えるとスピードも上げられるようになりますが、そのスピードに耐えられる体ができるには少し時間がかかります。

キロ4分で走れる走力がついてもそのキロ4分を維持するための筋肉がまだできていないのでほとんどの人がオーバートレーニングになってケガをします。

本当はケガをする前に「おかしいな」と感じることがあるはずなのですが速く走れることの楽しさと、これくらい大丈夫という思い込みから無理して練習を続け、最終的には痛みでまったく走れなくなってしまいます。

そうなると回復するまでに時間がかかりますし完治しないこともあります。せっかく走れるようになったのにもったいないですよね。そうならないためにも体のどこかに異変を感じたらそこで走るのをやめて1週間くらいは思い切って休みましょう。

ランニング人生は何十年もあります。1週間休んでも大したことではありません。部活経験者は「休む=サボる」と考えてしまいがちですがマラソンにおいては休むも練習です。上手に休める人だけが継続できるスポーツですので無理せずすぐに休みましょう。

 

5.まとめ

自己流で走りながら試行錯誤するのもいいですがこのトレーニング方法をベースにすることで効果的に鍛えることができます。自分のトレーニング方法に限界を感じている人やどんな練習をしていいのかわからずに困っているという人はぜひ参考にしてください。そしてくれぐれもオーバートレーニングをしてケガをしないようにだけは注意してください。違和感があったらすぐにストップです。「急がば回れ」と自分に言い聞かせてしっかりと休んでから練習を再開させましょう。