「ロキソニン」と「カロナール」は何が違うの?解熱鎮痛剤の特徴について解説
「熱や痛みが出たらロキソニン」と考える人もいるかもしれませんが、発熱や痛みがあるときに使われる解熱鎮痛薬は様々です。今回は主に「ロキソニン」と「カロナール」の違いについて解説します。
目次
1.解熱鎮痛剤の種類は大きく分けて2つ
発熱や痛みといった症状が見られたときに使われる「解熱鎮痛剤」は多くが「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」に分類されます。ロキソニン(成分名:ロキソプロフェンナトリウム水和物)もNSAIDsのひとつで、OTC医薬品(市販薬)としても販売されていて「解熱・鎮痛にはロキソニン」と考える方も少なくないかと思います。しかし何にでもNSAIDsを飲めばいいというわけでもなく、他の解熱鎮痛薬が適している状況もあります。
解熱鎮痛薬は大きく分けると以下の2つになります。
・NSAIDsに分類される解熱鎮痛薬
・NSAIDsに分類されない解熱鎮痛薬
NSAIDsに分類される解熱鎮痛剤はロキソニンをはじめ医療用医薬品としてはブルフェン(成分名:イブプロフェン)、バファリン配合錠A330(成分名:アスピリン〔アセチルサリチル酸〕)などがあります。
一方NSAIDsに分類されない解熱鎮痛剤としてはカロナール(成分名:アセトアミノフェン)が臨床でも広く使われている薬剤になっています。
「カロナール」は「ロキソニン」などのNSAIDsと比べると一般的に鎮痛作用はやさしめですが、インフルエンザの時にも比較的安全に使用でき、子どもや妊婦にも使えるのが特徴です。
「カロナール」は「解熱鎮痛薬」の中でも他の薬剤にはない特徴を持っています。
・抗炎症作用がほとんどない(一般的なNSAIDsと比べるとかなり少ない)
・インフルエンザの時に使っても「インフルエンザ脳症」が起こる危険が少ない
・幼い小児でも使用できる(NSAIDsには年齢制限などによって小児へ使用ができない薬剤がある)
・妊娠中でも使用できる(但し一般的には医師の診断の下で治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合)
一方共通点としては以下のような特徴があります。
・解熱や鎮痛を目的に使用する
・シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害し「プロスタグランジン」の産生を抑制する作用がある(但しCOXのタイプによって阻害作用の強弱に差があると言われている)
・胃腸障害がある(但しアセトアミノフェンは一般的なNSAIDsに比べ胃腸障害が少ない薬剤とされる)
・アスピリン喘息には使用できない
3.どんな時にカロナールを選ぶの?
カロナールの鎮痛効果は一般的なNSAIDsと比べるとやさしめです。そのため痛みが非常に強い場合の解熱鎮痛薬にはロキソニンなどのNSAIDsがより好まれる傾向にあります。
しかしNSAIDsは小児に適応がない薬も多いため、一般的に子どもの痛み止めには「カロナール」などのアセトアミノフェン製剤を選ぶ必要があります(例えば「ロキソニン」は15歳未満の小児への適応がありません)。さらに「インフルエンザ脳症」の観点から、大人であろうと子どもであろうとインフルエンザの解熱にNSAIDsは使うべきではないという意見もあります。(臨床上「ロキソニン」などのロキソプロフェン製剤がインフルエンザ時の解熱目的で処方される場合もあります。インフルエンザの解熱に関しては処方医の指示の下適切に対処することが大切です)。
こうした点から一つの事例として大人の場合は「痛み止め」にはロキソニンなどのNSAIDs、「解熱」にはカロナールを選択するということは理にかなった使い分けと言えるかもしれません。一方子どもや妊婦の場合では安全性などを考慮した上で、その目的が「痛み止め」でも「解熱」でもカロナールを選ぶことが多くなります。ただし子どもや妊婦であっても痛みが強くカロナールでは治まらない場合は、より鎮痛効果の強いNSAIDsを使用することもあるので留意しましょう。またロキソニンでは主に胃腸障害、カロナールでは(頻度は非常にまれとされていますが)肝障害など、特に注意すべき副作用の観点から薬が選択されることもあります。
解熱鎮痛薬としてカロナールとロキソニンなどのNSAIDsの違いについて解説してきましたが、自身の体質・症状・目的などを総合的に考慮してどちらを選択するか判断することが大切です。