ケンケンラボ

現役病院薬剤師が身近な病気や感染症、薬、健康食品、日常生活の中で疑問に思った事や勉強した事の中で役立つ情報を発信していくブログです。

アンサングシンデレラ?病院の種類や病院薬剤師の仕事内容、年収について説明します。

「アンサングシンデレラ」とは、「アンサングヒーロー」(縁の下の力持ち)という言葉と、主人公が女性であることから、おなじみのヒロイン「シンデレラ」に由来。医療現場を裏で支える存在を意味しています。日本の連ドラ史上初、薬剤師が主役の連ドラ「アンサングシンデレラ病院薬剤師の処方箋」の放送が始まりました。本作の主人公葵 みどりの原作漫画での設定はキャリア2年目の若手薬剤師、一方ドラマでの設定はキャリア8年目の中堅薬剤師と少し異なっていますが、どちらもとても面白い作品になっています。今回は病院の種類と病院薬剤師の仕事内容について説明したいと思います。

 

目次

  1. 病院の種類
  2. 病院薬剤師の仕事内容
  3. 病院薬剤師の平均年収
  4. まとめ

 

1.病院の種類

病院は開設者や機能、役割、規模などによって分類されます。また、病院と診療所との違い、病床の種類など様々な違いがあります。

 

①開設者別

病院は医療法により、公的組織以外には医療法人・学校法人・社会福祉法人などの非営利組織にしか設立が認められていません。

⑴国立病院

厚生労働省独立行政法人国立病院機構独立行政法人労働者健康福祉機構など

⑵公立・公的・社会保険関係法人の病院

都道府県・市区町村・地方独立行政法人日本赤十字社済生会国民健康保険団体連合会など

⑶大学病院

国立大学・公立大学・私立大学

⑷一般病院

公益法人・医療法人・社会福祉法人など

 

②機能別

病院は、機能別に⑴特定機能病院⑵地域医療支援病院⑶その他の一般病院の3つに分類されます。

⑴特定機能病院

高度医療を提供し、医療技術の開発・評価を行い、研修ができる病院。400床以上の病床数をもち、厚生労働大臣によって承認される。

地域医療支援病院

医療機器などを一般病院や診療所と共同で利用し、かかりつけ医を後方支援する病院。200床以上の病床をもち、都道府県知事によって承認される。

(3)その他の一般病院

特定機能病院、地域医療支援病院以外の病院。患者さんはまず、これらの地域密着型病院を利用することが多いといえる。

私の勤務する病院は(3)の病院に当たります。

 

「病院」と「診療所」の違い

医療法では、ベッド数が病床数20床以上を「病院」、19床以下を「診療所」として分類しています。「医院」や「クリニック」は診療所の別称として使われることが多いようですが、正確な定義はありません。

 

 2.病院薬剤師の仕事内容

病院には「薬剤部」「薬剤科」といった名前の部署があり、病院での治療に必要なすべての医薬品を取り扱う病院薬剤師が働いています。医師の処方せんをもとに薬を取りそろえる調剤はもとより、外来や病棟で患者さんに薬の説明をする服薬指導、医師や看護師とともに治療法を検討する会議への参加など、業務は多岐にわたります。

 

①調剤

医師の処方せんの内容を確認し、薬の種類や量が適切かどうか、飲み合わせの問題がないかなどをチェック。薬を取りそろえ、患者さんに使用方法を説明して渡す。薬の量を量って混ぜ合わせたり、個々の患者さんの病状や要望に合わせて飲みやすくするするための工夫なども行う。注射薬も個々の患者さんに使用する1回分ずつを用意する。必要な薬を選び出す装置や、1回分ずつ薬を袋詰めする分包機を用いるなど、機械化も進んでいる。

 

②製剤

がんの治療に用いる抗がん薬の調製も行う。抗がん薬はとても強い作用があるので、体についたり吸い込んだりしないようにガウンや手袋、マスクなどを着けて、清潔に保たれた専用の部屋で行う。菌が入っては困る注射や点滴などの「無菌製剤」の調製も同様の設備を用いる。市販されている医薬品では治療ができない場合などに、院内製剤と呼ばれる薬剤を作ることもある。

 

③病棟薬剤業務

 入院患者さんの病室で、治療に用いる薬の作用や副作用、使い方などを説明する。患者さんが入院前から飲んでいる処方薬や市販薬、健康食品などを確認し、病院での治療のために減量または中止した方がいいものがあれば医師に提案することもある。薬が効いているか、副作用が出ていないかなども確認する。

 

④外来での薬の説明

外来患者さんやそのご家族に薬の必要性や飲み方、起こりえる副作用などを説明する。薬のことで困っていることはないか、ほかの病院から出ている処方薬があれば効果が重なる薬はないかなど確認。使用している市販薬や健康食品のこと、アレルギーの有無などを聞き取り、治療に必要な情報を医師や看護師に伝える。

 

⑤外来化学療法の立ち合い

化学療法とは抗がん薬を用いた治療のことで、外来で行う場合も多い。抗がん薬の治療計画書の内容を確認し、抗がん薬の点滴を受ける患者さんに薬の作用や副作用などを説明する。副作用が出ていれば、副作用を抑える薬の使用を医師に提案する。抗がん薬での治療を行う患者さんが多い病院では、薬剤師の役割はより一層重要になる。

 

⑥薬品の管理と発注

医薬品を切らさないように在庫を確認・発注する。毒性の強い薬は鍵のかかる棚に保管し、使うたびに数量を確認する。適切な温度で保管されているか、光にあたるといけない薬は適切に保管されているかなどもチェックする。

 

⑦「チーム医療」の一員として

医師や看護師、理学療法士、栄養士といった患者さんを取り巻く医療スタッフと協力し合い、最善の治療法を検討する「チーム医療」に、薬のプロとして加わる。カンファレンスと呼ばれる会議では、薬物治療に関する意見を述べる。

 

⑧その他

ほかにも、薬学部の学生が薬剤師の仕事を体験する実習の指導、薬として認められる前の薬を試験的に使って効果を確かめる「治験」業務の支援、医薬品に関する情報収集や病院内で発生した副作用情報をまとめるといった医薬品情報業務なども、病院薬剤師が担う大切な仕事です。

 

3.病院薬剤師の平均年収

 平均年収は約435万円とドラッグストアや調剤薬局よりも低くなっています。

 

4.まとめ

病院といっても色々な種類の病院があり、担っている役割が異なります。「アンサングシンデレラ」の中でも強調されているように、病院薬剤師は患者さんにとって薬の最後の砦だと私も思っています。医師の処方内容を確認し、薬の適正使用を担う薬剤師には高度な専門知識が必要です。そのためには常に最新の医薬品情報収集に努めなければいけません。またチーム医療の一員として他の職種の人達と協力して、患者さんの治療方針を決めていくためコミュニケーション能力も必要です。