ケンケンラボ

現役病院薬剤師が身近な病気や感染症、薬、健康食品、日常生活の中で疑問に思った事や勉強した事の中で役立つ情報を発信していくブログです。

虫歯になりやすい習慣・環境とは?原因や検査、セルフチェックの方法

目次

  1. 虫歯になりやすい特徴とは
  2. 大人の虫歯
  3. 歯科での検査・治療

 

1.虫歯になりやすい特徴とは

虫歯とは

虫歯は、プラーク歯垢)の中にいる虫歯菌が酸を出し歯を溶かすことで起きる病気です。虫歯菌は歯を溶かす酸をつくる力の強い菌や弱い菌がいて力の強い菌が多ければ虫歯になりやすくなります。虫歯菌は糖分をエサにしてどんどん増えるため甘い物をよく食べれば虫歯になりやすくなります。ただ虫歯の原因はそれだけではなく食事の回数や歯並び、歯みがきの状況、唾液の量などさまざまな原因によって生じます。

 

虫歯になりやすい場所

虫歯になりやすい場所は「歯と歯の間」、「歯の根元」、以前治療をした「詰め物と歯の隙間」の3か所です。

「歯と歯の間」と「歯の根元」は手入れが行き届きにくいためプラークがつきやすいところです。特に「歯の根元」は加齢によって歯ぐきが下がり歯ぐきに守られていた箇所が露出してしまうとその部分が虫歯になりやすくなります。「詰め物と歯の隙間」は詰め物が噛むことですり減ったり、剥がれたり、膨張したりすることで詰め物と歯の間に隙間ができ、そこにプラークがたまって虫歯になります。

 

虫歯になりやすい生活習慣

・歯みがきは1日1回以下

歯にプラークがたまりやすくなり、虫歯菌の増殖を招きます。

・間食やだらだら食べることが多い

歯にプラークがたまりやすくなり虫歯菌の増殖を招きます。

・甘いものをよく食べる

虫歯菌は糖分をエサにするため虫歯菌の増殖を招きます。

・しばらく歯科に行っていない

気づかないうちに虫歯になっている可能性が高くなります。

 

虫歯になりやすい口内環境

・口の中がよく渇く

殺菌作用のある唾液が不足しているため虫歯菌が住みつきやすくなります。高齢者などで複数の種類の薬を使用している場合副作用で口の中が渇くことが少なくありません。

・歯並びが悪い

歯のみがき残しが多くなるため虫歯になりやすくなります。

歯周病がある

歯ぐきが下がり歯と歯の間に隙間ができてしまうためみがき残しをしやすくなります。

・かぶせ物や詰め物が多い

詰め物と歯の間に隙間ができやすいため虫歯になりやすくなります。詰め物の内側に虫歯できる場合もあり進行に気づきにくく注意が必要です。

 

2.大人の虫歯

大人の虫歯は治療した歯が原因

虫歯は子どもでは減っているものの大人では減っていません。大人の虫歯で多いのは以前虫歯を治療した歯で長年たってから再発するケースです。

 虫歯の治療では歯を部分的に削って詰め物やかぶせ物をします。それから長い年月がたつと、かむことによる負荷や、熱い物や冷たい物など温度の変化により金属が膨張や収縮を繰り返すことなどで、詰め物やかぶせ物が変形します。すると歯との間に隙間ができ、そこにプラーク歯垢)がたまります。そしてプラークの中にいる虫歯菌により虫歯が再発します。この場合表面からは見えづらく気づきにくいため進行しやすいのが特徴です。歯を削っている分神経に近い場所で再発することが多く、痛みを感じて受診したときには神経が障害されていることも少なくありません。

歯の詰め物やかぶせ物には寿命があるため、定期的に歯科医院を受診してしかるべきタイミングで再治療を受けることをおすすめします。

 

虫歯が再発する仕組みと流れ

①治療で歯を削り詰め物をした場合、詰め物やかぶせ物には寿命があり、すり減って歯との間に隙間ができていく。

②歯と詰め物の隙間にプラーク歯垢)がたまり、プラークの中の虫歯菌が酸をつくり虫歯になる。

③虫歯の再発が起こる。表面から見えないまま進行するため気づきにくい。

 

 3.歯科での検査・治療

歯科での定期検査

歯はどんなに丁寧に磨いても本当に磨けているかどうかは自分で確認することはできません。そこで重要になるのが歯科での定期検査です。

定期検査では虫歯の検査、歯周病の検査、歯石の除去などが行われます。虫歯は年に1~2回、歯周病は約3か月おきに定期検査を受けるとよいといわれています。定期検査の際に正しい歯磨きの仕方やコツなどを教えてもらうといいでしょう。歯垢をしっかり除去できれば歯石もたまらず虫歯や歯周病を防げます。

 

虫歯の検査

歯科医が歯の状態を見て調べる視診や歯のエックス線検査を行い虫歯があるかをチェックします。

 

歯周病の検査

歯周病ポケットの測定や歯石のチェック、さらにエックス線検査が行われます。

 

歯石の除去

歯石は歯垢が硬くなったものです。歯みがきでは除去できないため歯科で取り除く必要があります。

 

初期の虫歯に対する治療法

虫歯は初期であれば削らずに治療することができます。初期の虫歯は、歯からカルシウムイオンが溶け出て歯の一部が白くなります。この状態を「ホワイトスポット」といいます。放っておくと、重度の虫歯に発展してしまうことがありますが、歯に溶け出てしまったカルシウムイオンを取り込ませる薬を塗ることで、元の状態に回復させることができます。

歯は再生しにくい組織なので、できるだけ削らずに歯を保存することが現在の虫歯治療の基本です。歯みがきの指導とともに、虫歯の進行度合いに合わせた治療が行われます。虫歯が進行していて、歯を削る必要がある場合は、以下のような治療を行います。

 

歯磨きの指導

 虫歯の治療と予防の基本が歯みがきです。歯ブラシの当て方や動かし方、デンタルフロスや歯間ブラシの使い方などの指導が行われます。

 

「コンポジットレジン」による詰め物

虫歯を削った場所が小さい場合に行います。コンポジットレジンは歯科用の特殊なプラスチックです。虫歯を削り取った場所に直接塗布して、特殊なライトを当てて固めます。銀歯のように型を取る時間が不要なので、10分~30分で処置できます。また、歯と同じ色なので、見た目が良いのも特徴です。

 

神経を取る治療

虫歯が歯の神経まで到達している場合に行います。神経を取ったあと神経があった場所に詰め物をします。注目されているのが歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」を使用した治療です。目視では確認しにくい神経が通る管を拡大して見ることができるのでより確実な治療が可能です。

 

ブリッジ・入れ歯・インプラント

歯の欠損が大きい場合に行います。人工の歯、義歯にはブリッジ、入れ歯、インプラントがあり、それぞれ長所、短所があるので医師の説明を受け、よく理解したうえで選ぶことが大切です。

 

虫歯の予防には日常的に自分で行う口のケアが何よりも重要です。正しい歯みがきや食の嗜好を見直し、食べ方を改善すること、そして定期的な検診を心がけましょう。

 

 正しい歯みがきのポイント

正しい歯みがきで虫歯の原因となるプラークをしっかり落とすことが大切です。歯の隙間にはフロスなども使いましょう。忙しい人や高齢者におすすめなのが、効率的に汚れが落とせる電動歯ブラシです。

 

食べ方の改善ポイント

 食べ方の改善をするのも効果的です。

甘い物や酸性のものが好きな人はだらだら食べないように気をつけます。酸性のものは歯を直接溶かしてしまうため、虫歯になりやすくなります。

歯が酸性にさらされ続けると、最悪の場合虫歯ではないのに歯が薄くなったり、欠けたりして歯がすり減る「酸蝕歯(さんしょくし」になることがあります。しかし甘い物や酸性の物を全く食べてはいけないわけではありません。食べる量よりも口の中に長くそれを含んでいることのほうが良くないので、間食を減らしたり、食べた後に口をゆすいだりすることが効果的です。

脱自己流!知っておきたいマラソン練習の基本知識とトレーニング方法

どんなスポーツでも最初は経験者に教わって始めるものですが、マラソンの場合はなぜか誰からも教わることなく自己流で始めます。それでもフルマラソンを完走するくらいならなんとかなるものですが、練習の効率を考えるときちんと教わるのがおすすめです。とはいえ周りに教えてくれる先輩ランナーがいないとどういう方法で練習すればいいのかもわかりませんよね。そこで今回はマラソン練習の基本となる考え方と効率よくトレーニングするためのメニューについてご紹介していきます。

 

目次

  1. 練習・食事・睡眠の3本柱を意識すること
  2. ラソン練習の基本はポイント練習とジョグ
  3. 基本となるポイント練習とジョグの練習方法
  4. 違和感があったらすぐに中断しよう
  5. まとめ

 

1.練習・食事・睡眠の3本柱を意識すること

まず頭に入れてもらわないといけないのが練習だけでは成長しないということです。マラソンのトレーニングとしては「練習で体を疲労させ睡眠で疲労した体を回復させる」がベースになります。

人間の体は疲労から回復したとき(48~72時間後)に練習前よりも少しだけ体力がアップします。これを「超回復」と呼ぶのですが、体力が上がったタイミングでさらに疲労させると次の回復時にはさらに体力がアップします。これを何度も繰り返すことで走れるカラダへと変化していきます。

ここで重要になってくるのが食事です。疲労した体を再構築するには原材料が必要になります。その原材料となるのが食事から摂取する栄養素というわけです。主となる栄養素はタンパク質でタンパク質が不足すると練習で体を疲労させても十分な回復ができません。

このためマラソンのトレーニングにおいては「練習・食事・睡眠」を常にワンセットで考えなくてはいけません。寝る時間を削ってランニングしている人もいますが優先順位を間違えないようにしましょう。優先すべきは睡眠で十分な睡眠時間を確保できないなら練習はお休みにしてください。

もちろん食事も重要でタンパク質だけでなく炭水化物や脂質といった3大栄養素だけでなく、ミネラルなどもしっかり摂らないと走れるカラダを作ることはできません。

しっかりと練習をして食事にも気を使いそして十分な睡眠時間を確保する。この3つが合わさったのがマラソンレーニングです。走るだけでは不十分だということをまずはしっかりと頭に入れておきましょう。

 

2.マラソン練習の基本はポイント練習とジョグ

ラソン大会に向けての練習で何も考えずに毎日10km程度を走っている人もいるかと思います。ランニングを始めたばかりのころはそれでもある程度のレベルまでは成長します。でもすぐに伸び悩むことになります。

そうなると今度は月間走行距離を伸ばしがちですがここでは走行距離を増やすのではなく練習の質を上げるトレーニングとしてポイント練習を行いましょう。

インターバルやペース走といった名前は聞いたことがあるかもしれませんが、このような高負荷のトレーニングを取り入れることで筋力アップと心肺機能向上を狙えます。ポイント練習を導入することにより今までよりも速いスピードで長く走れるようになります。

ただしポイント練習は高負荷ですので回復するのに時間がかかります。ポイント練習の内容や負荷にもよりますがポイント練習をしたら次回まで2~3日は空けるのが一般的です。

ではその2~3日間は何もしなくてもいいのかというとそうではなくこの期間はジョグを行います。ジョグというのは比較的ゆっくりしたスピードで行うランニングで会話を楽しめるくらいのペースで走ります。もちろんジョグには意味がありますがそれについては後ほど詳しく説明します。

ラソンをしっかりと走れるようになるにはこのようなポイント練習とジョグの組み合わせトレーニングメニューを作る必要があります。

 

3.基本となるポイント練習とジョグの練習方法

 

インターバルトレーニング

インターバルトレーニングは高負荷のランニングとジョグを交互に繰り返すトレーニングです。方法がいくつもあるのでトレーナーによって教える内容に違いがありますがここでは2つのインターバルトレーニングをご紹介します。

1000m×4本

400m×10本

大事なのは全力で走らないということです。インターバルというと全力疾走とジョグの組み合わせだと思っている人がいますが、大事なのは400mにしても1000mにしても決められた距離を最後まで失速しないペースで走るということです。それも何本目でも同じペースで走ります。

もちろんゆっくり走っても意味がありません。インターバルが終わったときにオールアウトしているのが理想です。途中で疲労からペースが落ちるのもNG、力が余っているのもNGです。この感覚は自分で掴むしかありません。

 400mや1000mを走ったあとジョグでつなぎますがこのジョグは息を整える時間です。あまり長く取りすぎても意味がありません。ジョグは400mや1000mを走るのにかかった時間だけ行ってください。

例えば1000mを4分で走ったら4分間のジョグを行います。それを1セットとして決めたセット数だけ繰り返します。1000mなら4本、400mなら8本です。

こうすることで心肺機能に高い負荷をかけることができます。心臓や肺も筋肉でできていますので高い負荷をかけることで強くなります。そういう意味でインターバルは心臓と肺の筋トレだと考えてください。

 

ペース走

ペース走はとてもシンプルです。決められた距離を決められたペースで走り続けるだけです。どれくらいのペースで走るのがいいのかはそれぞれの走力によりますが、まずは5kmをぎりぎり息が切れないペースで走り続けましょう。それができるようになったら10kmに伸ばしましょう。

気をつけてほしいのはその日のコンディションによってペースが変わるということです。ある程度のペースは事前に決めておきますがいざ走ってみると体が重いこともありますし、気温や風の強さなどでも維持できるペースが違います。

最初の1kmを設定ペースで走ってみて無理がないかを確認しましょう。息が上がるようでしたら思い切ってペースを落としましょう。「これくらいなら最後まで走れそう」というところまでペースを調整してそのまま残りを走りきってください。

ペース走を行うことで心肺機能向上だけでなく筋持久力が上がります。最後までペースを落とすことなくそれでいて筋肉がパンパンになるくらいがちょうどです。最初はペースをつかむのが難しいですが何度も行っていれば感覚をつかめるようになります。

 

ジョグ

ラソン練習においてジョグは軽視されがちですが実はとても重要なトレーニングになります。私たちの筋肉には「遅筋」と「速筋」の2種類がありますがポイント練習で鍛えられるのは主に速筋になります。でもマラソンにおいて重要なのは遅筋です。

ポイント練習を行うのはスピードを出しやすくするためであってマラソンを走りきるには遅筋を鍛えなくてはいけません。それを行うのがジョグというわけです。

このジョグの目的は遅筋線維の毛細血管密度を上げることなのでゆっくりと走ります。ペースは筋力によって違いますのでキロ〇分とは言えませんが会話を楽しめるくらいのスピードで走りましょう。走っていて会話がなくなるようだと速すぎます。

自然な呼吸で余裕を持って走れるくらいを心がけてください。走力が上がってくるとゆっくりと走るのは意外と難しいものですがゆっくりと走ることが求められる練習ですので、必要以上に速く走らないように自分をしっかりとコントロールしましょう。

 

4.違和感があったらすぐに中断しよう

ランニングを始めたばかりは走れば走るほど速くなります。そうなってくると練習量も自然と増えていきます。ここに大きな落とし穴があります。練習量が増えるとスピードも上げられるようになりますが、そのスピードに耐えられる体ができるには少し時間がかかります。

キロ4分で走れる走力がついてもそのキロ4分を維持するための筋肉がまだできていないのでほとんどの人がオーバートレーニングになってケガをします。

本当はケガをする前に「おかしいな」と感じることがあるはずなのですが速く走れることの楽しさと、これくらい大丈夫という思い込みから無理して練習を続け、最終的には痛みでまったく走れなくなってしまいます。

そうなると回復するまでに時間がかかりますし完治しないこともあります。せっかく走れるようになったのにもったいないですよね。そうならないためにも体のどこかに異変を感じたらそこで走るのをやめて1週間くらいは思い切って休みましょう。

ランニング人生は何十年もあります。1週間休んでも大したことではありません。部活経験者は「休む=サボる」と考えてしまいがちですがマラソンにおいては休むも練習です。上手に休める人だけが継続できるスポーツですので無理せずすぐに休みましょう。

 

5.まとめ

自己流で走りながら試行錯誤するのもいいですがこのトレーニング方法をベースにすることで効果的に鍛えることができます。自分のトレーニング方法に限界を感じている人やどんな練習をしていいのかわからずに困っているという人はぜひ参考にしてください。そしてくれぐれもオーバートレーニングをしてケガをしないようにだけは注意してください。違和感があったらすぐにストップです。「急がば回れ」と自分に言い聞かせてしっかりと休んでから練習を再開させましょう。

知っておきたいクスリのリスクと正しい使い方

病気やケガの治療などで大切な役割を果たす「薬」。しかし程度に差はありますが薬は効き目(効能・効果)だけではなく、副作用という「リスク」も併せ持っています。重い症状では死に至ることも。そこで薬を安心して使うためには薬に関するリスク、正しい使い方や保管方法を知ることが大切です。そして薬の服用歴が分かる「お薬手帳」や薬について身近に相談できる「かかりつけ薬剤師・薬局」を持つことも有効です。今回は知っておきたい薬の基本的な知識を紹介します。

 

目次

  1. 知っていますか?クスリのリスク
  2. 薬にはどんな種類があるの?
  3. 薬の正しい使い方とは?
  4. 薬をより安全に使うには?
  5. 薬について安心して気軽に相談したい!

 

1.知っていますか?クスリのリスク

薬は病気やけがを治療するなどの効果・効能がある一方副作用というリスクも併せ持つものです。副作用とは本来の目的と別の作用のことで、例えば眠気やのどの渇きといった軽いものから、肝機能障害やアレルギー反応の一種であるアナフィラキシー(※)などの重い症状まで様々です。

ただし薬を使用すると必ず副作用が現れるものではありません。もし現れたとしてもその症状は服用した人や薬によって異なりますが次に当てはまる人は特に注意が必要です。

 

アナフィラキシー:アレルギー反応の一種。皮膚のかゆみやじんましんなどから始まり、ひどくなると呼吸困難ひいては生死に関わるほどの重症(いわゆるアナフィラキシーショック)になることもあります。

 

薬の副作用について特に注意が必要な人

・アレルギーのある人

・過去にひどい副作用を経験したことがある人

・医師の治療を受けている人

・肝臓・腎臓など薬の成分を代謝・排泄する臓器に疾患のある人

・他にも薬を飲んでいる人

・妊娠している女性、妊娠の可能性のある女性、授乳中の女性

・高齢者

また「高所作業や乗り物または機械類の運転操作をする人」は眠気等の副作用に注意が必要です。

薬の使用中に何か異常を感じたらすぐに医師や薬剤師に相談してください。その際には「何という名前の薬をどのくらいの量、期間使用し、どのような症状がでたか」を説明できるようにすることが大切です。

 

2.薬にはどんな種類があるの?

薬は「医療用医薬品」、「要指導医薬品」、「一般用医薬品」の大きく3つに分類されます。

「医療用医薬品」は医師の処方に基づいて使用する薬で、「要指導医薬品」「一般用医薬品」は、薬剤師等による情報提供を踏まえて、症状にあわせて薬局等で購入する薬です。

「要指導医薬品」は医療用医薬品から市販薬に変更となってからの期間が比較的短いものなどが該当します。「一般用医薬品」はリスクに応じて第1類から第3類までの3種類に分けられます。

 

3.薬の正しい使い方とは?

薬を使用する際には次のような点への注意が必要です。

(1)使用前に説明文書をよく読む

医療用医薬品・要指導医薬品・一般用医薬品には必ず説明文書がついています。用法・用量や効能・効果のほか、使用上の注意や副作用に関することが記載されているので、使用前には必ず目を通す習慣をつけましょう。また捨てずに保管し、必要なときにはすぐに読めるようにしておくことも大切です。

 

(2)用法・用量、タイミングを正しく守る

飲み薬は決められた量よりも多く飲めばさらによく効くというものではなく、逆に副作用や中毒などが現れる危険もあります。薬を飲むタイミングについても同様です。特に高齢の方や妊娠中・授乳中の方、赤ちゃんなどの場合は薬の種類や使用する用法・用量に注意する必要があります。

 

Q 薬を飲むタイミングって?

A 用法の指示のうち「食前」「食後」「食間」とは次のタイミングをいいます。

「食前」:食事の1時間~30分前(胃の中に食べ物が入っていないとき)

「食後」:食後30分以内(胃の中に食べ物が入っているとき)

「食間」:食事の2時間後が目安(食事と食事の間)※食事中の服用ではない

 

Q もし薬を飲み忘れたら?

A 気づいた時にすぐに飲みましょう。

ただし次の服用時間が迫っている場合は1回分を抜いてその次からいつものように飲みます。決して2回分を一度に使用してはいけません。

なお薬の種類によっては飲み忘れたときの対応が異なる場合があります。

 

Q 医師に処方してもらった薬(医療用医薬品)を他人に譲ってもいいですか?

A その人の症状や体質・年齢などを考慮して処方されているため、仮に症状が似ていたとしても他人が使ってはいけません。また要指導医薬品、一般用医薬品についても薬剤師や登録販売者に相談して、必要な薬を選ぶことが大切です。安易に他の人にあげたり、もらった薬を服用することはやめましょう。

 

Q 薬を飲むときの水の量は?

A コップ1杯の水(またはぬるま湯)が目安です。

少量だと薬がのどや食道などにはりついて炎症や潰瘍をおこすおそれがあります。なお医師から水分摂取の制限を指示されている場合はその指示に従ってください。

 

(3)薬の形状(錠剤・カプセルなど)に注意

治療効果の向上や副作用防止のため、錠剤や粉薬、カプセル、シロップといった様々な形状に工夫されています。形状によっては使い方に注意しましょう。

 

錠剤、カプセル

 これらの中には薬に含まれる有効成分が少しずつ溶け出す、あるいは胃ではなく腸で溶けて効くように工夫された薬もあります。そのためむやみに噛んだりつぶしたりまたはカプセルをはずしたりしてはいけません。

 

目薬

容器の先に目やまつ毛が触れないようにしましょう。また2種類使用する場合は少なくとも5分程度の間隔を空けましょう。

 

(4)薬の飲み合わせ

複数の薬を使用している場合飲み合わせが悪いと十分な効果が得られなかったり、逆に効き過ぎて体に悪影響を及ぼしたりすることがあります。また食品やサプリメントの中にも薬との飲み合わせが悪いものもあります。

 

一緒に飲むことを避けたほうがよい組み合わせ

「ワルファリン(血を固まりにくくする薬)」と「納豆」または「クロレラ食品」

「カルシウム拮抗薬(高血圧の薬の一種)」と「グレープフルーツジュース

「風邪薬」と「アルコール」

「眠気防止薬」と「カフェインを含む飲料(コーヒーやいわゆるエナジードリンクなど)」

 

薬の正しい保管方法

(1)子どもの手の届かないところ

子どもの誤飲を防ぐために子どものすぐ手の届く場所に薬を放置しないようにしましょう。薬を廃棄する際にも子どもの目に触れないように処分しましょう。

 

(2)湿気、日光、高温を避ける

薬は湿気・光・熱によって影響を受けやすいため、直射日光の当たらない高温にならない場所で保管しましょう。また冷蔵庫で保存するよう指示された薬は凍らせないように気をつけましょう。

 

(3)薬以外のものと区別

誤用を避けるため食品・農薬・殺虫剤・防虫剤などと一緒に保管するのは絶対やめましょう。

 

(4)他の容器に入れ替えない

薬の種類や使い方が分からなくなり誤使用によって事故を招くおそれがあるため薬を他の容器に入れ替えての保管は避けましょう。

 

(5)古い薬は廃棄

時間が経過した薬は分解・あるいは成分の変質によって本来の効果が得られなくなる場合があります。そのため使用期限を過ぎている、または見た目に異常がある薬の使用はやめましょう。

 

4.薬をより安全に使うには?

 自分が使っている薬の記録をつけておくための「お薬手帳」をおすすめします。

これによって普段使用している薬や薬に関する情報を正しく知ることで副作用や誤飲の防止などにつながる、薬によるアレルギー経験なども医師や薬剤師へ正確に伝えられるというメリットがあります。

 

お薬手帳」に記載する主な項目

・氏名、性別、生年月日、血液型、住所、電話番号、緊急連絡先

・アレルギー・副作用歴の有無、過去の病歴、かかりつけ医・薬剤師など

・服用薬に関する情報、処方された薬の名前、用法・用量・期間など

 

お薬手帳」の利用方法

医療機関や薬局に行った際には毎回必ず医師・薬剤師に提出

・薬剤師が薬の情報(名前・飲み方・注意点など)を記入、または渡された説明文書などを自分で貼付

・(必要に応じて)処方された薬に関して不明な点や気づいたこと、服用後に気分が悪くなったことなどを自分で空欄などに記入

 

5.薬について安心して気軽に相談したい!

医師が発行した処方せんはどこの薬局でも取り扱ってくれます。しかし受診する医療機関によって薬局を変えるのではなく、“かかりつけ”の薬剤師・薬局を持つことをお勧めします。

より安全で効果的な医療を提供することを目的として、医師(処方せん発行)と薬剤師(調剤)がそれぞれ独立した専門的な立場で患者さんと接する仕組みを「医薬分業」といいます。医薬分業には次のようなメリットがあります。

医薬分業の主なメリット

・複数の医療機関から処方せんをもらっても(1か所の薬局で調剤を受けることで)飲み合わせの悪い薬や同じような薬が重複して出されていないかなどをチェックしてもらうことができる。

・処方せんが発行されることで患者自身が処方の内容を把握可能になる

・薬剤師による情報提供や服薬指導を受けることができ飲み忘れや飲み残しを防ぐことができる。

・在宅での療養が必要になっても薬の管理説明を受けられる。

ジェネリック医薬品について説明してもらえてジェネリック医薬品を選択するか希望を聞いてもらえる。

腰部脊柱管狭窄症について解説します。

症状

この病気では長い距離を続けて歩くことができません。

もっとも特徴的な症状は歩行と休息を繰り返す間歇性跛行(かんけつせいはこう)です。

腰部脊柱管狭窄症では腰痛はあまり強くなく、安静にしている時にはほとんど症状はありませんが、背筋を伸ばして立っていたり歩いたりすると、ふとももや膝から下にしびれや痛みが出て歩きづらくなります。しかし、すこし前かがみになったり腰かけたりするとしびれや痛みは軽減されます。

進行すると下肢の力が落ちたり、肛門周囲のほてりや尿の出がわるくなったり、逆に尿が漏れる事もあります。

 

原因と病態

加齢、労働、あるいは背骨の病気による影響で変形した椎間板と、背骨や椎間関節から突出した骨などにより神経が圧迫されます。

脊柱管は背骨、椎間板、関節、黄色靭帯などで囲まれた脊髄の神経が通るトンネルです。年をとると背骨が変形したり、椎間板が膨らんだり、黄色靭帯が厚くなって神経の通る脊柱管が狭くなって(狭窄)、それによって神経が圧迫を受け、神経の血流が低下して脊柱管狭窄症が発症します。椎間板ヘルニアに比べ中高年に発症することが多いようです。また背骨を後ろに反らすと脊柱管が狭くなり、前に曲げると広がるので、間歇性跛行が起こるのです。

 

診断

 単純X線(レントゲン)写真である程度は推測できますが、より詳しく診断するためにはMRIや脊髄造影などの検査が必要となります。下肢の動脈がつまって血行障害を生じた時にも似たような症状がおこりますので原因を正確に調べることが必要です。

 

予防と治療

日常生活上の注意

日常生活で姿勢を正しく保つ事が必要です。

神経の圧迫は腰をまっすぐに伸ばして立つと強くなり、前かがみになるとやわらぎますので、歩く時には杖をついたりシルバーカーを押して腰を少しかがめるようにしましょう。そうすると楽に歩けます。また自転車こぎも痛みが起こりにくいのでよい運動になります。

 

治療

手術ではない治療としてはリハビリテーション、コルセット、神経ブロックや脊髄の神経の血行をよくする薬などがあります。これらで症状が改善することもあります。しかし、歩行障害が進行し、日常生活に支障が出てくる場合には手術を行うこともあります。また両足に症状が出ている場合には改善することが少ないので手術を行う場合が多いわけです。最近は内視鏡を使った低侵襲手術も行われています。

腰痛の原因と対処法について解説します。

腰痛は人が4本足の動物から進化し、2本歩行になった時から始まったとされ、人間の宿命といわれています。地面に垂直に立った人の背骨は、重たい頭や胴体など上半身にかかかる重力のすべてを支えなければなりません。立っているだけでも腰に負担がかかるのに、少し前屈の姿勢をとったり重い物を持ったりするとさらに負担が大きくなります。このように常に重力にさらされている背骨が悲鳴をあげた状態が腰痛です。

 

腰痛のメカニズム

背骨は一本の長い骨ではなく頸椎や胸椎など短い椎骨24個が巧妙に連結して構成されています。これらをつなぐクッションの役割を果たしているのが椎間板です。頭の方から7個の「頸椎」、12個の「胸椎」、5個の「腰椎」、そして「仙骨」と「尾骨」に分類され、このうち「腰椎」部分が腰にあたります。これは体の要となる需要な部分で、座る、立つ、歩くなどほとんどの行動は腰を起点に行います。背骨はとても複雑な構造であるため、ほんの小さな歪みが生じただけでも不調の原因になりやすいのですが、その多くが腰痛というサインになって現れます。

 

腰痛の主な種類

腰痛には鈍痛が続く慢性的なタイプと、突然動けなくなるほどの激痛に襲われる急性的なタイプがあります。またその原因も姿勢の悪さ、激しい運動や労働による疲労や損傷、老化、脊髄神経の異常、内臓や全身性疾患、心因性のストレスなどさまざまです。ここでは腰痛の代表的な症状とその原因をご紹介します。

 

一般的な腰痛(慢性筋肉性腰痛症)

腰の骨を支える筋肉や靭帯(じんたい)に疲労がたまった状態です。軽い症状なら比較的早く回復しますが筋肉の疲労が積み重なると腰の筋肉がこわばってうっ血し、鈍い痛みを常に感じるようになります。これが慢性筋肉性腰痛症です。また慢性筋肉性腰痛症は「筋肉痛」の仲間です。

 

ぎっくり腰(突発性腰椎捻挫)

ぎっくり腰とは膝を曲げずに重い荷物や物を持ち上げたり、急に体をねじったりした時、あるいは十分な準備体操なしで激しい運動をするなど、腰に急な負担をかけた時に痛みを感じるものです。直接の原因は大きく分けて2つあります。まず腰椎の周辺にある関節包や靭帯、椎間板(椎骨にかかる衝撃を和らげるクッションのような役割を持つ軟骨)などを強く捻挫したり、大きく損傷したりした場合、何らかの急な動作が加わって背中から骨盤を覆っている大きな広背筋の一部か筋膜が切れたり、引っぱられたりした場合が考えられます。

 

椎間板ヘルニア(腰椎椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニア(正式名称=腰椎椎間板ヘルニア)は、外から何らかの大きな力がかかることで、腰椎部分の椎体と椎体の間にある椎間板に亀裂が入り、中の髄核が押し出され、それが脊髄神経(神経根)を圧迫して激しい痛みを引き起こす病気です。痛みは腰だけではなく、臀部から足にかけてひどい痛みやしびれを感じる坐骨神経痛などの症状を伴い、筋力の低下などを起こすのが特徴です。ひどい場合は排尿ができなくなることもあります。

長時間の座り仕事や運転、運動など、背骨に負担をかけている日常生活、椎間板の老化(20歳を過ぎると徐々に老化します)、姿勢の悪さによる骨盤の歪みなどがある状態で、急に腰に大きな力が加わることが原因となります。

 

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

腰部脊柱管狭窄症は生まれつき脊柱管が狭い場合もありますが、椎間板や椎間関節の老化、変形などにより脊柱管が狭くなり脊柱管の中を通っている神経が圧迫されることで痛みやしびれが起こる病気です。40~50代以上、特に高齢者に多くみられ、女性より男性にやや多いのが特徴です。立って腰が伸びた状態の時に痛みやしびれが強く、背筋を伸ばして歩くと、腰から足の裏にかけて痛んだり、足のしびれを感じたり、足がもつれたりするのが一般的な症状で、朝や寒い季節に多く現れます。悪化すると背中を丸めて寝ないと痛くて眠れなくなるほどになります。

 

変形性脊椎症

変形性脊椎症は、椎間板の老化によって上下の脊椎の骨が変形することで引き起こされ、周囲の筋肉・靭帯も弱くなり、腰椎を支える筋肉がこわばって、動作をする時期に痛みを感じる病気です。発症は一般的に40歳以後で若い頃から重労働に従事してきた人や激しいスポーツをしてきた人に多く見られ、椎間関節の老化、椎間板症、脊椎体からの骨棘による圧迫などが痛みの直接的な原因と考えられています。体を動かしていると痛みが軽減してくる特徴がありますが、疲れがたまると再び出てくるので、決して無理をしないことが大切です。

 

その他の腰痛

転んだり、事故に遭ったりなどして、外部から衝撃を受けた後の腰の痛みには注意が必要です。特に高齢の人の場合、打撲だと思っていたら実は骨にヒビが入っていたり、骨折していたりというケースもあります。安静にしていても痛む時や、患部に熱がある、痛みが長引くというような場合は整形外科の診察を受けることをおすすめします。

また腰痛は腰そのものの問題ではなく、内臓などの疾患によって引き起こされることもあります。これらの痛みは鈍痛となって慢性的に起こることがほとんどです。泌尿器科疾患などのほか、悪性腫瘍の転移などの可能性もありますので、やはり腰痛が長引く時や、寝ている時に痛みがひどくなる場合などは軽視せず医師の診察を受けましょう。

 

腰痛の対処法

ついらい腰痛を少しでも和らげるために、痛みの症状に応じた対処法をご紹介します。

 

急性的な腰痛で動けなくなった時の対処法

腰痛が出たら腰に負担がかからないようにできるだけ横になりましょう。ただし横になるのも痛い場合は無理をせず少しずつ動き、できる範囲で一番楽な体勢を取り、痛みが少し治まってからゆっくり楽な寝方で横たわってリラックスするとよいでしょう。この時腰を回したり、動かしたりしないようにし腰の負担をかけないようにしましょう。sらに痛む部分を冷やす、コルセットやさらしで保護するなども効果的です。また鎮痛薬で痛みが少しでも軽減すれば大分楽になるのではないでしょうか。

 

慢性的な腰痛の対処法

激痛ではないが慢性的に腰が重たい、あるいは腰にだるさを感じる場合の対処法です。まずは腰に負担をかけないようにし、腰を温めるようにします。ゆっくり入浴するのもいいでしょう。無理のない範囲でストレッチやマッサージ、ツボ刺激を行うのも効果的です。またこの場合も鎮痛薬で痛みを和らげるのも方法の一つです。

肩こり痛で悩んでいる方必見!肩こりのについて解説します。

肩こり痛は日常の何気ない動きが原因で起こる、非常に身近な痛みの一つといえます。生活習慣の改善やマッサージなど、日常の心がけや日々のケアで痛みを予防・軽減する方法もありますが、つらい時は鎮痛剤で痛みを抑えるのも一つの方法です。

 

目次

  1. 肩こり痛とは
  2. 肩こりのメカニズム
  3. 肩こりの主な原因
  4. 肩こり痛の対処法

 

1.肩こり痛とは

肩こり痛は頭・首・肩・背中のあたりに感じる、痛み・重さ・張り・硬さなどの自覚症状の総称です。肩こりが肩の筋肉の血行不良であるということはよく知られていますが、その血行不良の原因はさまざま。ほとんどの場合は筋肉の使い過ぎ、また筋力の低下によって起こります。

 

2.肩こりのメカニズム

肩こりは腕や手にしびれの出る頸肩腕症候群の症状としても現れます。肩は体重の1/10近い重さを占める頭と腕を支えているため、負担がかかりやすい部位です。車の運転やデスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けたり、寝転んで本を読むなどの無理な姿勢をとったりすることで肩の筋肉に負担がかかり、疲れて乳酸という疲労物質がたまります。すると筋肉が硬くこわばって血管を圧迫し血行が悪くなります。これが肩こりの第一段階で、この時点で肩を叩いたり、ストレッチを行ったりするなどして筋肉の緊張をほぐして血行をよくすれば、疲労物質は血流に乗って取り除かれ肩こりは解消されます。

 

3.肩こりの主な原因

姿勢

長時間のデスクワーク、肘まくらでの体制など不自然な姿勢など。

体型や体質

猫背、なで肩など。

肩以外の異常

肺や心臓、胃腸や肝臓などの疾患からくるもの、貧血や低血圧、歯のかみ合わせが悪いなど。

生活環境

強い冷房、枕や寝具の硬さが合っていない、メガネの度が合っていない、精神的ストレスなど。

老化

四十肩、五十肩など。

 

4.肩こり痛の対処法

肩こり痛の痛みを和らげるためには、肩全体を温める、半身浴でゆっくり入浴する、マッサージやツボの刺激をする、ストレッチをするなどが効果的です。運動不足、筋力の低下、姿勢の悪さなどに起因するものが多いため、日頃から筋トレ、適度な運動、ストレッチなどを積極的に取り入れると予防や改善につながります。

市販の貼り薬や塗り薬を使用したり、鎮痛剤を服用したりするのも一つの方法ですが、あまりに痛くてがまんできない時や、腕や手にしびれが出るようなひどい肩こりが長時間続くような場合は、整形外科の診療を受けることをおすすめします。

交通事故の慰謝料が丸分かり!通院から6ケ月後のケースではいくら?

「交通事故によるケガで6ケ月通院した場合の慰謝料の相場が知りたい」

「保険会社から提示された慰謝料が妥当な金額かわからない」

慰謝料の金額はどのような基準で決められるのでしょう?またどの程度の金額が妥当なのでしょう?交通事故で被害に遭ったとき加害者との示談交渉でトラブルになりがちなのが慰謝料です。この記事では交通事故の被害者が加害者に請求できる慰謝料について、金額の目安から具体的な計算方法まで、法律や保険に詳しくない方にもわかりやすいよう解説しています。

 

目次

  1. 交通事故で6ケ月通院したときの慰謝料は?
  2. 慰謝料を確実に請求するためには?治療時のポイント3つ
  3. 痛みが続いているのに症状固定になったら後遺障害慰謝料などの請求を

 

1.交通事故で6ケ月通院したときの慰謝料は?

 交通事故の被害者が加害者に請求できる「示談金(損害賠償金)」には、経済的な賠償だけでなく、精神的苦痛に対する賠償、すなわち「慰謝料」も含まれます。

たとえば交通事故によるケガで通院すると治療費や交通費などのほかに「入通院慰謝料」を請求することができます。この慰謝料の金額を左右するのは「通院期間(通院日数)」と「慰謝料の算定に使用する計算基準」です。慰謝料の計算基準には以下の3つがあります。

自賠責保険基準:法令で定められた最低限の補償

任意保険基準:自動車保険会社ごとに決まっている

弁護士基準(裁判基準):判例に基づいており、弁護士が用いる

 

自賠責保険基準による計算方法

自賠責保険基準とは、交通事故の加害者が自賠責保険自動車損害賠償責任保険)のみに加入していた場合に用いられる計算基準です。そもそも自賠責保険とは、車を運転する方が最低限の補償をするために加入が義務付けられている保険です。自賠責保険による入通院慰謝料は1日あたり4300円です(2020年3月までの事故については4200円)。慰謝料の計算は「入通院期間(入院期間+通院期間)」と「実通院日数(実際に入通院した日数)×2」の少ないほうの数字に4200円をかけた金額となります。では通院6ケ月のケガを負ったとき、自賠責保険基準での慰謝料はいくらになるのでしょうか?

【一例】

入通院期間=入院期間1ケ月+通院期間6ケ月=210日

実通院日数=(入院日数30日+実際に通院した日数〈回数〉50日)×2=160日

210日より160日の方が少ないので160日に1日当たりの慰謝料を掛けて計算します。

請求できる慰謝料=160日×4200円=67万2000円

ただし入通院での自賠責保険での損害賠償の限度額は120万円と定められています。この損害賠償には慰謝料の他にも治療費や交通費、休業補償なども含まれています。加害者が任意保険に加入していれば、トータルの損害賠償が120万円を超えた金額は任意保険会社に請求可能です。しかし、加害者が任意保険に加入していない場合は、加害者本人に請求します。このとき、加害者本人に支払う金銭がなかったり、支払いを拒否するケースがあり、トラブルに発展するケースが数多くあります。

 

②任意保険基準による計算方法

 任意保険基準は交通事故の加害者が自賠責保険だけでなく、任意加入の自動車保険に加入していた場合に用いられます。任意保険は自賠責保険だけではカバーしきれない部分を補うためのものなので、慰謝料の金額も自賠責保険と比べると高めに設定されています。ただし、保険会社によって基準額や設定金額が異なるため、一律で計算することは難しいと言われています。

【一例】

入院1ケ月・通院6ケ月の相場から請求できる慰謝料=83万2000円

自賠責保険基準で計算した67万2000円は上回っていますが「そこまでの差ではない」と感じる人もいるかもしれません。これらの金額で納得できない場合は弁護士に相談したり裁判を起こすといった選択肢もあります。

 

③弁護士基準(裁判基準)による計算方法

 弁護士基準は過去の裁判での判例をもとにしたもので、「裁判基準」とも呼ばれます。他の基準に比べて高額になるケースが多く自賠責基準と比較すると約2倍もの差が出る場合もあります。

弁護士基準による慰謝料の算定では他覚症状(他の人から客観的に判断できる症状)の有無によっても金額が変わってくるので注意しましょう。

弁護士基準での慰謝料は「弁護士に依頼をする」か「裁判を起こす」ことで請求できます。弁護士基準の慰謝料が請求できれば自賠責保険基準の慰謝料の金額の2倍近くになる可能性もあります。

 

2.慰謝料を確実に請求するためには?治療時のポイント3つ

交通事故の慰謝料には一定の基準が定められています。

しかし請求をするには交通事故とケガとの因果関係を証明しなければなりません。そのためにはしっかりと医師の診断を受け治療する必要があります。

慰謝料を請求するための治療のポイントは以下のとおりです。

1.医師の診断を受けカルテを作成してもらう

2.適切な治療を継続的に受ける

3.完治または症状固定まで治療を続ける

 

1.医師の診断を受けカルテを作成してもらう

交通事故の慰謝料を適切なものにするためにも事故にあってすぐに、遅くても1週間以内に医師による診断を受ける必要があります。注意点としては診断書を発行できるのは整形外科など病院の医師のみです。整骨院接骨院の先生は厳密には医師ではありませんので診断書は発行できません。そのため交通事故によるケガはまず病院で治療を受けましょう。また診断時は医師に自覚症状をもれなく伝え診断書やカルテに記載してもらう必要があります。自覚症状を医師に伝えなかったり、遅れたりすると事故との因果関係が証明できずに慰謝料を含めた損害賠償を適切に行えない可能性があります。

 

2.適切な治療を継続的に受ける

交通事故とケガの因果関係が認められる条件に「自覚症状に一貫性・連続性がある」とされています。そのため通院頻度が重要で症状に見合った治療を継続して受ける必要があります。通院頻度は症状によって異なるだけでなく個人差もあります。週に2・3度の通院で経過を見ながら治療するケースもありますし、毎日リハビリをしなければならないケースもあります。医師と相談して決めるようにしましょう。

 

3.完治または症状固定まで治療を続ける

慰謝料の計算には治療期間が重要なポイントになります。そのため医師から完治または症状固定と言われるまで治療は続けましょう。「症状固定」とは治療を継続してもそれ以上症状が良くならないと判断された状態です。もし通院を継続せず中断などをしてしまった場合は期間の長さに関わらずその時点で症状固定したと見なされて治療費を打ち切られる可能性があります。主治医による症状固定の判断が下されるまでは継続して通院することが大切です。

また通院を継続していてもあまりに通院頻度が低いと症状が軽いと見なされ慰謝料が低く計算される可能性もあります。忙しくても定期的に通院を続けることが大切です。

通院の一時中断や頻度の低さなどを理由に保険会社から治療費等の計算期間を打ち切ると宣言されるケースもあります。その際慰謝料を低く抑えられないようにするためには、診断書やカルテなどの資料を保険会社へ提供し、まだ治療が必要なことを十分に訴える必要があります。こうした対応ができるよう定期的に通院して担当医としっかりコミュニケーションを取り、自覚症状を診断書やカルテに詳細に記載してもらうよう心がけましょう。もし通院先の医師との意思疎通がうまくいかなかったり納得がいかないと感じたら通院先を変えることもできるので、不満を抱え込まないようにしましょう。

 

3.痛みが続いているのに症状固定になったら後遺障害慰謝料などの請求を

交通事故による影響で6ケ月など一定期間の通院治療を受けても仕事や日常生活に支障が出るような障害が残ってしまう場合があります。このような場合後遺障害の等級認定を受けることで入通院慰謝料とは別に

・後遺障害慰謝料

逸失利益

・休業損害

を請求することができます。

 

「後遺障害慰謝料」「逸失利益」「休業損害」とは

「後遺障害」とは治療後にも残ってしまう「後遺症」のうち交通事故によるものと医学的に証明され労働能力の低下や喪失が認められるものを指します。

交通事故による後遺障害と認められた場合には、第1級~第14級までの等級が認定され等級に応じた後遺障害慰謝料を請求できます。

後遺障害慰謝料の計算も入通院慰謝料と同様に「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判基準)」の3つの基準があります。どの等級に認定されどの基準で計算するかによって慰謝料の金額が大きく変わるため、仕組みをしっかり理解しておきましょう。

 

逸失利益と休業損害

逸失利益とは交通事故に遭わなければ被害者が将来得られたはずの経済的な利益を指します。後遺障害によって収入に影響が出ている場合は後遺障害慰謝料と合わせて逸失利益の補償も得られる可能性があります。

逸失利益の計算は以下の計算式で行います。

基礎収入×労働能力損失率×就労可能年数のライプニッツ係数(労働に対する将来の利息分を調整する係数)=逸失利益

基礎収入は給与所得者であれば、原則として交通事故に遭う前の収入(賞与含む年収)がベースとなり、事業所得を得ている人であれば申告所得が目安となります。

 逸失利益を請求するためには後遺障害慰謝料と同様に、後遺障害の認定を受ける必要があります。申請できるのは「症状固定」後になりますが、それ以前に通院などで休業した場合の経済的損失は、別途に「休業損害」として補償を受けることができます。

 

後遺障害慰謝料は被害者請求で申請するべき

後遺障害等認定の請求方法として

・加害者の加入する保険会社が申請手続きを行う事前認定

・被害者が自ら申請手続きを行う被害者請求

がありますが、被害者請求であれば適正な認定が行われるように自ら立証するため、納得できる結果が得られる可能性も高くなります。

事前請求

メリット

書類・資料集めなどの準備はすべて加害者の加入する保険会社が行ってくれる。

デメリット

加害者側の意向を踏まえた認定になる可能性がある。

被害者請求

メリット

適正な認定がされるよう必要な書類を漏らさず提出できるので納得のいく等級が認定されやすい。

デメリット

被害者自身で資料集めや申請を行うので手間がかかる。

被害者請求をするためには主治医に後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。できるだけ内容は詳細に記載したほうが後遺障害認定は認定されやすくなります。

自分でイチから書類等を集め不備を出さず適切な後遺障害等級認定を受けることは非常に大変です。弁護士など専門家に任せるという手もあります。

交通事故に遭ったら早めに弁護士に無料相談する

交通事故に遭って通院や入院をともなうケガをした場合は早めに交通事故に強い弁護士事務所に相談しましょう。

 弁護士に相談相談すべきとされる理由は以下のようになります。

交通事故の示談金(損害賠償金)が納得のいく金額になりやすい

後遺障害認定などの煩わしい手続きに苦労しない

不安なことがあればすぐに相談できる

示談交渉をすべて任せられるので精神的なストレスがない

案件知識が豊富なので安心して交渉を任せることができる

 

弁護士に依頼すれば示談交渉の代理はもちろん、弁護士基準による慰謝料の計算、後遺障害認定の手続きなども行ってくれます。