ケンケンラボ

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あなたの頭痛はどのタイプ?頭痛の種類とその原因・症状を解説します!

日本人の約6~8%が頭痛に悩んでいるといわれています。中でも女性は男性の4倍も多いとされます。頭が痛くなるととりあえず横にならないと活動ができなくなる方もいらっしゃいるでしょう。あるいは頭痛がそれほど強くなくても、頭がしめつけられるような感じで一日調子があがらないという人も。今回は頭痛について解説するとともに主な頭痛の種類とその特徴を説明します。

 

目次

  1. 頭痛の症状のタイプ
  2. 頭痛の種類
  3. 頭痛のおきるメカニズム
  4. 主な頭痛の種類

 

1.頭痛の症状のタイプ

ひと口に頭痛といってもいくつかのタイプがあります。主なタイプの一つはガンガン、ズキズキするような拍動性の頭痛、もう一つは重く締めつけるような頭痛です。

頭の表面がびりびりするような感じも頭痛と呼ばれることがあります。頭痛は単独に起きるだけでなく、他の症状を伴う場合もあります。

例えば頭痛に伴って眼の奥が痛くなったり、嘔吐を伴うこともあります。ここでは様々な頭痛の種類についてお話しします。

 

2.頭痛の種類

頭痛は痛みの強さ、痛む部位、持続時間など症状も人により異なります。

頭痛は急性の頭痛と慢性の頭痛に分けられます。これらの二つでは頭痛の種類が異なります。前者にはくも膜下出血脳出血でおきる非常に危険なものも含まれます。

雷が落ちたように突然起こる超急性に発症する激しい頭痛は「雷鳴性頭痛」ともよばれ、緊急に処置をしなければならないことが多く、直ちに医療機関を受診することが必要です。

後者のタイプでも軽度のものでも突然現れた頭痛、だんだんひどくなる頭痛であれば医療機関を受診することをお勧めします。

慢性の頭痛は大きく血管性頭痛と緊張性頭痛に分けられます。

血管性頭痛には血管が頭痛の原因になっているもので、片頭痛群発頭痛が多くみられます。緊張性頭痛は後に述べるように頭皮や頸部の筋肉の緊張によるものです。

頻度的には片頭痛と緊張性頭痛が慢性頭痛の大部分を占めていますがとりわけ多いのが筋緊張性頭痛です。

一次性頭痛、二次性頭痛 という分類もあります。頭部CT,MRI画像検査などで原因となるような病変のないものを一次性頭痛と呼び、頭痛の多くがこれに相当します。これに対して、例えば脳出血や脳腫瘍など他の疾患が原因で起こる頭痛を二次性頭痛と呼びます。

 

3.頭痛のおきるメカニズム

頭痛はどうして起きるのでしょうか。

慢性の頭痛は大きく血管性頭痛と緊張性頭痛に分けられますが、その二つでは頭痛の起きるメカニズムが異なります。

脳自体の中には痛みを感じる神経は無いとされています。ではどこで頭痛を感じるかというと、髄膜といわれる脳を覆う膜、あるいは脳にある血管の壁、これがひきのばされたりして頭痛を感じるのです。

血管性頭痛の場合、血管性という名の通り血管で痛みを感じますから、ガンガン、ズキズキといった拍動性のある頭痛を感じるのが特徴です。

 緊張性頭痛は頭皮や背中から首への筋肉が過剰に収縮することによる頭痛で、筋肉の緊張が高まると、筋肉内の血流が悪くなり筋肉の中に乳酸やピルビン酸などがたまることが頭痛の原因になると考えられています。

それが周囲の神経を刺激し、締めつけられるような痛みになります。そのため拍動性のある頭痛ではなく、頭部の周囲を締めつけるような、あるいはヘルメットをかぶったような頭痛になります。

血管性頭痛と緊張性頭痛、二つのタイプの頭痛を合併している場合もあります(混合性頭痛)。

他方、頭の表面がびりびりするような感じの頭痛は、頭皮の表面の末梢神経などの障害による神経痛と呼ばれるものです。

 

4.主な頭痛の種類

4-1.片頭痛

片頭痛は上で述べたようにガンガン、ズキズキする血管性頭痛の代表です。

片側あるいは両方のこめかみから目のあたりにかけて、脈打つようにズキズキと痛む拍動性の頭痛が出現します。この発作は一般に数時間から2、3日続きます。

片側に起きることから片頭痛と呼ばれるのですが、実際には症状は両側性のこともあります。頭痛には吐き気や嘔吐をしばしば伴います。

典型的な片頭痛では、頭痛が起きる前に視野のなかにチカチカと光る点、ギザギザした光(閃輝暗点)が出現し段々大きくなっていき、それがおさまったころに頭痛がしてきます。しかし閃輝暗点を伴わない場合も多いです。

症状が強いときは、とりあえず横にならないと一日活動できない、仕事が手につかないという人もいます。頭痛は動きまわると悪化する傾向があります。

片頭痛には症状の波があり、頭痛が続いていたと思ったら、しばらくしたら収まっている時期がきます。

チョコレート、チーズ、赤ワインなどのお酒がきっかけで頭痛がひどくなったり、音、光などの刺激がきっかけになって症状が悪化したりするので、そのような傾向がある人はそのような食品や刺激を避けるようにすることが必要です。

片頭痛で頭痛の起きる仕組みは血管性であるといいましたが、もう少し詳しくいうと、血管が何らかの原因で収縮し、頭蓋内血管に分布する三叉神経などの神経終末が刺激されると、血管作動性物質(神経ペプチド)が放出され、今度は血管が拡張するというものです。同時に無菌性の炎症が起こり、炎症反応が次々に血管を広げていくことも痛みの原因となります。

 

4-2.群発頭痛

群発頭痛も血管性頭痛の1つです。

症状は普通は片側に出現します。早朝に起きやすく、眼の奥などが痛み、眼の充血や血涙、鼻閉などが起きるのが特徴的です。

群発頭痛の痛みは「目がえぐれるような」あるいは「きりで刺されるような」激しい痛みのため、発作中は痛くてじっとしていることができず、部屋中を動き回ったり、時には頭をぶつけたりします。発作時間は1日あたり30分から数時間くらい続きます。

20~40歳代の男性に多いのが特徴です。

このような発作が一定期間、たいていは1~2カ月くらい続いた後(つまり文字通り頭痛が群発した後)、いったんおさまります。またしばらく時間がたった後(少なくとも1カ月)、再び同じような頭痛が群発します。休止期がより短いタイプもあります。

群発頭痛では眼の後ろ側を通っている内頸動脈が拡張して炎症を引き起こすため、目の奥が痛むと考えられています。アルコール飲酒がきっかけになることも多いので注意が必要です。

 

4-3.筋緊張性頭痛

締め付けるような頭重感が頭全体や後頭部や首筋に持続的に起きるのが特徴です。ふわふわしためまいを感じる方もいます。筋肉による頭痛なので横になると楽になりますし、朝よりも夕方に頭痛の症状が強くなることが多いのも特徴です。肩こりのある人に多くみられます。

痛みの強さは仕事や家事をなんとか続けられる程度のことが多いです。無理な姿勢や過度な緊張、ストレスなどが重なって起こることも多いので、パソコンの画面を長時間見る作業などをする場合にはときどき休憩しながらやることが大切です。

日頃から肩や首の筋肉が過度に緊張しないように、睡眠を十分にとり自分に合ったリラックス法を見つけることも大切です。

 

4-4.くも膜下出血脳出血など他の病気が原因で起こる頭痛

くも膜下出血脳出血とも急激な激しい頭痛がみられますが、いずれも出血の量が多ければ生命にかかわる早急な処置が必要な状態です。

くま膜下出血は、脳動脈溜(脳の血管の壁が弱くなっていてこぶ状になっている場所)の破裂などによって血管が破れ、脳を覆うくも膜と軟膜のすき間(くも膜下腔)に出血するものです。出血時には急激で激しい頭痛が生じ、しばしば「バットで急に後ろから殴られたような」頭痛が起きます。

激しい頭痛には嘔吐が伴い、場合によってけいれん発作もみられます。このような症状がみられた場合には、一刻も早い医療機関の受診が必要です。

脳出血は脳の動脈が破れて脳の中に出血し、血液のかたまりができて脳を内側から圧迫する状態です。これにより頭痛の他、運動神経が障害されれば出血と反対側の手足の麻痺も起きます。このような場合もただちに医療機関に受診しなくてはなりません。

脳動脈解離は交通事故での外傷やスポーツなどで、首をひねったり伸ばしたりしたときに内膜・中膜・外膜の三層構造をしている脳動脈の壁に亀裂が生じ、この裂け目に血液が入り込み、さらに動脈の壁が裂けてしまう状態です。

このようになるとさらに血管にこぶ(解離性脳動脈瘤)ができたり、おされた血管の内腔が狭くなったりします。脳動脈解離が頸部を走行している脳動脈である椎骨動脈などに起きると、うなじから後頭部にかけて急に痛みが生じます。

以上のようにくも膜下出血脳出血、脳動脈解離に伴う突然の激しい頭痛はいずれも医療機関にかからなくてはいけない緊急事態です。

 

4-5.脳腫瘍による頭痛

脳腫瘍は無症状のことも多いですが、大きくなると常に痛みや頭重感が出現するようになる場合もあります。特に日を追うごとに徐々に強くなってくる頭痛は注意が必要です。

 脳腫瘍による頭痛は朝方目が覚めた時に強く、起きてからしばらくすると軽快してくるMorning headacheといわれる特徴を示すことがありますが、全例がそうだというわけではありません。

 

4-6.高血圧に伴う頭痛

高血圧は通常ほとんど自覚症状がありませんが、高血圧のコントロールが非常に悪い人では後頭部などに頭痛を感じることがあります。高血圧がない人でも頭痛がある時は血圧も上昇することが多いので、血圧が頭痛の原因なのか結果なのかを区別するのは必ずしも簡単ではありませんが、急激な高血圧(血圧上昇)や長時間継続する高血圧は注意が必要です。

特に収縮期血圧が210mmHg以上、あるいは拡張期血圧が120mmHgくらいに上がると脳出血のリスクが極めて高くなるので、すぐに医療機関へ受診し治療することをお勧めします。

 

4-7.髄膜炎による頭痛

ウイルスや菌が脳脊髄液に入り込み、脳を覆う髄液に炎症が起きた状態が髄膜炎です。