調剤薬局で支払う薬代が高いと感じたことありませんか?調剤報酬の仕組みについて説明します。
病院で処方せんを出してもらったらどの調剤薬局に行っても薬代は変わらないと思っていませんか?今回は調剤報酬の仕組みにについて説明いたします。調剤報酬は1点=10円で、調剤報酬の仕組みは2年に1回見直しされます。
目次
- 調剤報酬の仕組み
- 調剤明細書を確認してみよう
- 他にも薬代が変わってくるケースがある
- まとめ
1.調剤報酬の仕組み
①調剤基本料(調剤技術料)
調剤薬局を利用する基本料のようなものです。処方箋の受付回数によって点数が異なり、薬局の運営体制や取り扱っている後発医薬品(ジェネリック)の調剤割合などによって点数が加算されます。
②調剤料(調剤技術料)
医薬品を揃えたり、調合したりする料金です。内服薬、頓服薬、注射薬、外用薬といった医薬品の種類によってそれぞれ点数が異なります。
③薬学管理料
患者の薬歴を記録したり、服薬指導、情報提供、在宅医療に取り組んだときの料金です。通常は「薬剤服用歴管理指導料」で算定されますが、患者が特定の薬剤師をかかりつけ薬剤師として指名すると「かかりつけ薬剤師指導料」に変わります。
④薬剤料
医薬品そのものの料金です。医薬品の価格は国によって「薬価基準」で決められています。
⑤特定保険医療材料
糖尿病の方のインスリン注射や在宅医療で点滴をしたりするときの医療器具の料金です。
2.調剤明細書を確認してみよう
このように、調剤薬局で支払うお金は「調剤技術料」「薬学管理料」「薬剤料」「特定保険医療材料料」の4つを合計したものです。
このうち「薬剤料」と「特定保険医療材料料」は、どこの薬局でも同じ金額ですが、「調剤技術料」と「薬学管理料」は、薬局によって金額が異なります。
①「調剤基本料」の分類
「調剤基本料」は、薬局の処方箋の受付回数や立地、特定の医療機関からの処方箋の受付の集中率によって4つに分類され、それぞれの点数が算定されます。
②「調剤基本料」の加算について
面対応薬局より、門前薬局や大手チェーン薬局を選べば薬代が必ず安くなるのかというと、実はそうとも言えません。なぜなら、「調剤基本料」には、一定の条件を満たすと点数が加算される仕組みがあるからです。
そのひとつは「後発医薬品調剤体制加算」です。その薬局での後発医薬品(ジェネリック)の調剤数量の割合が一定以上の場合、3つに分類され、それぞれ点数が加算されます。
もうひとつは「地域支援体制加算」です。夜間・休日に対応しているなど、地域医療に貢献できる体制ができている薬局に点数が加算されます。
⑴後発医薬品調剤体制加算1
ジェネリックの調剤数量の割合:75%以上
18点(3割負担の場合の自己負担額:54円)
⑵後発医薬品調剤体制加算2
ジェネリックの調剤数量の割合:80%以上
22点(3割負担の場合の自己負担額:66円)
⑶後発医薬品調剤体制加算3
ジェネリックの調剤数量の割合:85%以上
26点(3割負担の場合の自己負担額:78円)
⑷地域支援体制加算
35点 (3割負担の場合の自己負担額:105円)
3.他にも薬代が変わってくるケースがある
①お薬手帳を持参する
「調剤基本料1」の面対応薬局に、6か月以内にお薬手帳を持参して再度利用すると、持参しなかったときより、1回あたり36円(3割負担の場合)安くなります。
また、お薬手帳を持参することで服用歴が分かり、薬の受け渡しがスムーズです。
⑴薬剤服用歴管理指導料1
「調剤基本料1」の薬局に6か月以内に再来局かつ手帳による情報提供あり
41点(3割負担の場合の自己負担額123円)
⑵薬剤服用歴管理指導料2
⑴と⑶以外
53点(3割負担の場合の自己負担額159円)
⑶薬剤服用歴管理指導料3
特別養護老人ホーム入所者
41点(3割負担の場合の自己負担額123円)
②ジェネリックを使用する
ジェネリックとは後発医薬品で、新薬(先発医薬品)の特許が切れたあとに販売される薬です。
新薬とは同じ有効成分・品質・効果・安全性が同等であると国から認められた薬です。先発医薬品に比べ、開発費もかかっていないため安価に購入することができます。
年々増加する医療費を抑えるために、国はジェネリックの使用を推進しています。そのため、ジェネリックを多く調剤する薬局には「後発医薬品調剤体制加算」がつきます。
しかし、ジェネリックの薬剤料は、先発薬の約2~7割といわれています。患者にとっては加算がついたとして、薬代の負担を軽くすることができるのです。
ジェネリックのメリットは、薬代が安くなるだけではありません。新薬と同等の効果や安全性があるだけでなく、小型化したり、苦みを抑えるコーティングをするなど、より飲みやすくなる工夫・改良が施されているところもあります。
③時間外・休日の利用は高くなる
営業時間外の「時間外」や、営業日外の「休日」に調剤してもらったり、通常の営業時間内でも「夜間」や「休日」に調剤してもらうと、料金が加算されます。
⑴時間外加算
開局時間外で6:00~8:00、18:00~22:00に調剤を行った場合
基礎額の100%(3割負担の場合の自己負担額:基礎額の30%)
⑵休日加算
開局日外で日・祝日、12月29~31日、1月2・3日に調剤を行った場合
基礎額の140%(3割負担の場合の自己負担額:基礎額の42%)
⑶深夜加算
開局時間外で22:00~翌6:00に調剤を行った場合
基礎額の200%(3割負担の場合の自己負担額:基礎額の60%)
⑷夜間・休日等加算
開局時間外の19:00(土曜日は13:00)~翌8:00または休日に調剤を行った場合(処方箋受付1回につき)
40点(3割負担の場合の自己負担額:120円)
※基礎額=調剤基本料+調剤料+施設基準関係加算
4.まとめ
調剤薬局で支払うお金は「調剤技術料」「薬学管理料」「薬剤料」「特定保険医療材料料」の4つを合計したものです。このうち「薬剤料」と「特定保険医療材料料」は、どこの薬局でも同じ金額ですが、「調剤技術料」と「薬学管理料」は、薬局によって金額が異なります。また、お薬手帳を持参するかしないか、薬を調剤してもらう時間や日によっても薬代が変わってくるので知っておきましょう。